静岡県庁の対応 その4 



 静岡県庁の対応は最初からおかしなものでした。Aさんが最初に静岡県庁に加藤学園の未履修を訴えたとき、対応したのは学事課の杉本令美主幹でした。しかし彼は、「こんなことを静岡県庁に訴えてくることの方が重大な問題」、「そんな訴えをこっちに言ってもらってもしょうがない」などと、一向にこの不正の告発をまともに取り上げようとはしませんでした。私もこのときの会話の録音テープを聞かせてもらいましたが、確かに告発をまともに取り上げようという感じはありませんでした。杉本令美主幹の対応には、公僕たる公務員としての良識というものが全く感じられません。

 このため、平成10年3月18日にAさんは、録音テープをもって静岡県庁人事課に行き、学事課の対応がおかしかったことを訴え、静岡県の子供たちのために、村松宏之学事課長、中沖英敏課長補佐、杉本令美主幹の配置換えを頼んでいます。このとき人事課で対応した岩崎富夫人事課長補佐は、その録音を聞いて、杉本主幹には「不穏当な発言がある」ことを認めています。

 弁護士も「未履修の決定的な物的証拠」と認めた成績表の実物を提示して、当事者が監督官庁に未履修を告発しているのです。それを監督庁である静岡県庁が、「加藤正秀加藤学園理事長が静岡県庁に来て、学校による内部調査の結果、「未履修はなかった」と結果報告しているので、未履修はなかったと結論付けた」など、これほど安易かついい加減なことでいいのでしょうか。これでは静岡県庁が加藤学園をかばっているようにしか見えません。

 当事、大学入学を考えていたAさんは、弁護士さんに虚偽記載のある調査書のことを相談したところ、「このまま調査書を大学入試用に提出すれば、虚偽記載を承知のうえで大学入試判定資料(調査書)を提出したことになりますから、あなたも不正入試の共犯となります。」と言われたわけです。静岡県庁に未履修や調査書の虚偽記載のことを訴えていたAさんとしては、「未履修はなかった」という監督官庁(静岡県庁)のお墨付き無くして調査書を大学入試用に提出などできるはずがありません。このことは何度も静岡県庁に伝えてあります。
 Aさんが静岡県庁に何度も求めたのは、「未履修はなかった」と結論付けた書面を公印付きで出してほしいということです。公印があれば誰もが疑いなく静岡県庁が出した書面と信用します。弁護士さんも「必ず公印付きの書面でもらうように」と言っていました。役所というのは人事異動の避けられない職場です。つまり、いくら県庁職員が責任をもって出した書面だと主張しても、担当職員が異動してしまえば、その後、後任者に「知らない」と言われたらそれまでです。Aさんが求めたのは、受験願書提出のために、後々誰からも文句の言われる心配のない社会的に信頼性のある書面なのです。

 静岡県庁への要請である3項目の質問についての回答は、再三にわたる要請にもかかわらずまともな回答がありません。ただし、文科省を通して聞いたことですが、加藤学園による卒業生に対する聞取り調査の対象人数(調査当時、学園職員であった同期生を除く)について、「静岡県庁では、人数を言ったら誰が証言したのか分かってしまう」ということを言っていたそうです。これはどういう意味でしょうか。静岡県庁の答えが、仮に何人であっても、Aさんには誰が証言をしたのか、見当などつきません。もし名前が分かってしまう場合があるとすれば、0人、つまり「未履修がなかった」と証言したのが、同期生の学園職員だけであった場合しか考えられません。つまり、学園から圧力を受ける者の証言をもって、静岡県庁は「不正はなかったと結論付けた」ことになるのです。また、物的証拠である成績票についての静岡県庁の見解に対する質問にも、全く答えようとする気配すらありません。

 静岡県庁からの回答は、最初の内は一貫して「加藤学園に照会するように」の一点張りです。Aさんは加藤学園に対して匿名を条件に未履修を告発しているのです。にもかかわらず静岡県庁が、「加藤学園に直接照会するように」と回答するのは非常識であり、あまりにも配慮が足りないとしか言いようがありません。
 静岡県庁が唯一、「回答できない」とする理由らしきことをAさんに説明してきたのは、平成10年9月18日付の服部亨亘学事課長からの書面ですが、内容的には的外れのことが記されているぐらいのものです。この書面の中で静岡県庁が主張しているのは、「学校教育法第14条」、と「私立学校法第5条第2項」です。

学校教育法第14条:学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規定に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる。

私立学校法第5条第2項:学校教育法第14条は、私立学校に適用しない。


 静岡県庁の言い分によりますと、この規定の趣旨から、私立学校の授業に立入る法的権限はないと考えている、といったことが記されています。そうであれば、「自主性尊重の建前から」私立学校では、卒業資格にかかわる必修科目の未履修を容認するし、指導権限もない、と静岡県庁自ら言っているようなものです。それが、学校教育法並びに私立学校法の趣旨なのでしょうか。

 Aさんは、この書面を受けて、平成10年9月22日、文部省に行き太田知啓氏に、直接この服部亨亘学事課長が送ってよこした書面を見てもらいました。太田氏は、「この書面では所轄庁(静岡県庁)は私立学校に対して、何の法的権限もないかのような誤解を招く」と率直に述べ、「必修科目を履修していない、あるいは大学等へ提出される調査書(内申書)に虚偽の記載が記されているといった重大な不正の訴えがあれば、所轄庁はちゃんとした調査をする義務がある。」と、はっきりと言ったそうです。

 服部亨亘学事課長は的外れな法律まで持ち出して、Aさんの訴えをごまかそうとしたわけです。だいたいAさんは監督庁である静岡県庁に「(〜の)変更を命じて」ほしい、などとお願いしているのではありません。不正を訴えたのが中学生、高校生だったら、これでごまかされてしまうところです。本当にふざけた県民を舐めきった学事課長でした。この例をみても静岡県庁が加藤学園の未履修を何とかして隠蔽しようと画策したことがわかります。

 またこのとき、Aさんが静岡県庁に問合せている3項目の質問事項についても、高等学校課の太田氏に見てもらったところ、「文部省の見解という以前に、社会一般的に考えて、Aさんが静岡県学事課に質問している内容は、不正を訴えた者として当然のことですし、学事課(静岡県庁)が答えようとしないとしたら理解できない。」と言っています。

 これはつまり、静岡県庁学事課には社会一般常識がない、ということです。太田氏ではなくて誰がみても静岡県庁学事課の態度は非常識極まりないものです。

 この質問を準備する際に相談した弁護士も、この服部亨亘学事課長が送ってよこした書面を読んで、「所轄庁の担当課長としての常識のなさや無責任さが感じられる。」と述べ、特に3番目の質問事項については「この質問は学事課の見解を尋ねているものであり、学事課が答えようとしないのは不可解としか言いようがない。」と明言したそうです。

 ちなみに村松宏之学事課長の後任だった服部亨亘学事課長は1年で異動になりました。こんな非常識な人間を教育に関する部署の課長などに誰がしたのか、疑問を抱かずにはいられません。

 Aさんは、これらの文部省職員と弁護士の見解について、江端康二総務部長に宛てて、平成10年9月29日付の書面(内容証明郵便)に記し、服部亨亘学事課長の対応に対する考えを尋ねています。その回答が、平成10年10月30日付の江端総務部長名義の書面ですが、結論は平成10年9月7日付の書面の通りであるとし、まるで答えになっていません。江端総務部長の無責任さにもただ呆れるばかりです。

 その後、Aさんは、後任の石川善朗総務部長や北井久美子副知事さらには石川静岡県知事にも書面(いずれも内容証明郵便)を出しましたが、みな同様に無責任な対応です。静岡県庁には、ここまで不可解かつ非常識な態度をとってまでして、加藤学園の未履修を隠蔽しなければならない理由があるのでしょうか。


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